調査費用(探偵費用)

調査費用(探偵・興信所等の費用)の負担について

札幌の慰謝料に強い弁護士
慰謝料請求にかかる調査費用は誰の負担か

不貞行為慰謝料を請求するにあたり、利用した調査会社(興信所)の費用や探偵費用といった調査費用は請求できるのでしょうか。

また、裁判では認められるのでしょうか。

これは、裁判例によって判断が分かれています。

調査費用は証拠収集費用であるところ、いかなる証拠収集方法を選択するかは専ら請求するものの判断によるものであり、請求される者らの不貞行為との間に相当因果関係は認められない(東京地方裁判所平成30年2月1日判決)などとして否定する判断が多いようです。

逆に、肯定する裁判例もあります。

また、相手方がわからないなど調査が必要不可欠であるような場合には調査費用を不貞行為と相当因果関係のある損害と認め、請求される側が当初から不貞行為を認めているような場合には調査費用を損害として認めないという判断もあります。

認められる場合でも、高額な調査費用は認められず、認められるのは合理的な範囲の一部にとどまるないといったケースもあります。

個別の事情によりケースバイケースと考えた方が良いと思われます。

(参考裁判例とその要旨)

・東京地方裁判所平成28年10月27日判決

 調査費用のうち不法行為(不貞行為)と相当因果関係のある損害と認めるのが相当なのは10万円である。

・東京地方裁判所平成30年1月23日判決

 調査費用の支出が不法行為から通常生じる損害にあたると認めることは困難であり、相当因果関係は認められない。

・東京地方裁判所平成30年2月15日判決

 慰謝料算定における増額事情として考慮されることはあっても、独立した損害としては認めるに足りない。

・東京地方裁判所平成30年2月26日判決

 同調査により不貞相手が被告であると確定するに至ったと認めるに足りる証拠もなく相当因果関係があるとは言えない。

 

 

調査費用が認められるか
不倫慰謝料の調査費用

また、離婚慰謝料に関する平成31年2月19日最高裁判決について記されている「最高裁判所判例解説」(一般財団法人法曹会)においては「調査費用は不貞行為の証拠収集のために要した費用に過ぎない上、不貞行為がされた場合に通常そのような依頼がされるという関係があるとも認め難く、相当因果関係があるとはいえないであろう」とされています。

事案にもよりますが、同判例以降は調査費用の請求は裁判では否定される傾向にあるようです。