(慰謝料について、以下やや専門的に述べますが、実際のご相談の際にはもっと簡単な言葉でご案内しますので、ご安心ください。)
判例・通説によれば、慰謝料は被害者に生じた精神的損害を填補するものであり、その額は精神的損害の大きさによって決まります。
しかし、填補されるべき精神的損害は、その性質上金銭による評価が困難ないし不可能なものであるため、実際には、裁判官が口頭弁論に表れた諸般の事情を斟酌して裁量によりその額を定めます。
算定にあたって考慮されるべき事情に制限は無く、被害の程度などの被害者側の事情だけではなく、加害者側の事情も入ります。
具体的には、被害の程度、加害者・被害者双方の年齢、学歴、職業、収入、社会的地位といった事情や、不法行為の動機や経過等、多岐にわたります。
また、判例によれば、裁判官は数学の算定根拠を示す必要はなく(大判明治43年4月5日民録16・273)、原告の請求にあたってその額を明示する必要はない(大判明治34年12月20日刑録7・11・105)とされています。
(以上、不法行為法〔第3版〕(有斐閣・吉村良一著)より引用)
このように、慰謝料の金額は裁判官の裁量に任され、その認定が著しく不相当であり経験則または条理に反するような事情が無い限り、上告審でも原判決が破棄されることはありません(最判昭和38年3月26日裁判集(民)65・241)。
具体的な示談の金額はケースバイケースとなりますが、大きく左右するのは請求をする方の感情です。
これは、金額だけではなく、誠意をもって謝罪することとするのか、将来に向けて連絡を取り合わないような約束を入れるのかといった、示談の条項(示談内容)によっても大きく変わってくることですので、交渉にあたっては慎重な配慮が必要になります。
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